AIに、自分の小説を読ませてみた

創作大賞2026に向けて書いた応募作品たちを、GoogleのNotebookLMに読み込ませてみました。

やったことはシンプルです。

各作品の本文mdファイルをNotebookLMのソースに入れて、そこから、

  • インフォグラフィック
  • スライド資料
  • 音声解説

を作成してみる。

つまり、自分の小説をAIに読ませて、別の形で展示しなおしてみた、という実験です。

これが、思った以上に面白い結果になりました。

もちろん、AIの出力そのままだと少し真面目すぎたり、作品の毒や余韻が丸くなったりする部分もあります。

なので、NotebookLMで作った素材をそのまま載せるのではなく、ChatGPTで少し整えながら、ブログ上に「創作大賞2026 AI作品展示室」のような形でまとめてみることにしました。

作品を「読む」以外の入口を作りたかった

小説は、本来は本文を読んでもらうものです。

でも、いきなり数万字の作品を読むのは、少し重いこともあります。

タイトルだけ見ても、どんな作品なのか分かりにくい。
あらすじだけだと、空気感までは伝わりにくい。
作者の解説が長すぎると、今度は読む前の余白を壊してしまう。

そこで今回は、作品に入る前の入口として、

図で見る
スライドで眺める
音声で聴く
気になったら本編を読む

という流れを作ってみました。

作品そのものを置くだけではなく、作品の周りに小さな展示室を作るような感覚です。

美術館で、絵の横に解説パネルがあったり、音声ガイドがあったりするように。

ただし、今回はその案内係がNotebookLMとChatGPTです。

なかなか変な展示員です。
でも、意外と仕事をします。

今回作ったもの

今回、創作大賞2026の各応募作品について、NotebookLMで以下のような素材を作ってみました。

1. インフォグラフィック

作品のテーマ、登場人物、構造、問い、読後感などを、視覚的にまとめたものです。

小説本文を読む前に、その作品がどんな方向を向いているのかをざっくり眺めることができます。

2. スライド資料

作品の世界観や構造を、プレゼン資料のように整理したものです。

小説を「読む」というより、「企画書」や「作品解説資料」として眺める感覚に近いです。

3. 音声解説

NotebookLMの音声解説機能を使って、作品について語ってもらいました。

これが一番不思議でした。

自分で書いた作品なのに、AIが第三者のように解説してくれる。

もちろん、完全に正確とは限りません。
でも、「この作品は、外から見るとこう見えるのか」という発見があります。

作者本人の頭の中では当たり前だったものが、音声解説になることで少し客観化される。

これは、かなり面白い体験でした。

ChatGPTで修正する理由

NotebookLMの出力は、かなり優秀です。

作品の要点を拾ってくれるし、構造も分かりやすく整理してくれます。

ただ、そのままブログに載せるには、少し調整が必要でした。

理由は主に3つあります。

ひとつ目は、真面目にまとまりすぎること

AIは、作品を分かりやすく整理しようとします。
それ自体はありがたいのですが、小説には「分かりやすくしすぎると消えるもの」もあります。

違和感。
余白。
静かな毒。
読後に残る、説明しにくい引っかかり。

そういうものは、きれいな要約の中で少し薄まってしまうことがあります。

ふたつ目は、ネタバレ管理が必要なこと

NotebookLMは、作品全体を読んだうえで解説します。
そのため、うっかり結末や核心に触れてしまうことがあります。

ブログに載せる場合は、読む前の人に向けた「ネタバレなし紹介」と、読後に楽しむ「ネタバレあり解説」を分けた方がよさそうです。

みっつ目は、シエスタ作品としての温度を戻す必要があること

AIが作った資料は、整っています。

でも、シエスタ作品は、整っているだけでは少し違います。

どこかにズレがある。
やさしい顔をして、奥に毒がある。
静かに見えて、制度や神様や現実の足元を少し削ってくる。

その部分を消さないように、ChatGPTで文章を整えながら、作品ごとの入口として再構成していきます。

創作大賞2026 応募作品 AI展示室

ここからは、今回NotebookLMに読み込ませた作品たちを、簡単に紹介していきます。

今回はまず総合記事なので、各作品の詳細展示は軽めにしています。

今後、反応を見ながら、作品ごとの個別展示ページも作っていく予定です。

神のアルゴリズム

最適化された世界で、人間はまだ迷えるのか

『神のアルゴリズム』は、AIによる最適化が進んだ世界を描いた作品です。

この作品の中心にあるのは、「便利になった世界」ではありません。

むしろ、

すべてが最適化されたとき、人間の迷いはどこへ行くのか

という問いです。

AIが正解を出してくれる。
失敗を避けてくれる。
無駄を減らしてくれる。

一見すると、それはとても優しい世界です。

でも、その優しさが行きすぎたとき、人間は自分で選ぶ力を失っていくのではないか。

この作品では、そんな「最適化の暴力」を静かに描いています。

『神のアルゴリズム』インフォグラフィック画像

スライド資料及び音声解説は、下記の個別ページに掲載しています。

本編はこちら:

神の死後

誰にも見られなくなったものから、世界は消えていく

『神の死後』は、かなり静かな作品です。

大きな戦いがあるわけではありません。
派手な事件が連続するわけでもありません。

けれど、この作品には、ずっとひとつの問いが流れています。

誰にも見られなくなったものは、存在していると言えるのか

人の記憶。
古い場所。
見落とされたもの。
消えていく風景。
誰かがいた痕跡。

それらが、少しずつ世界から薄れていく。

この作品では、「消滅」は爆発ではなく、見落としとして起こります。

そこが気に入っています。

世界は、壊れる前に忘れられる。
そして、忘れられたものから順番に、静かに消えていく。

『神の死後』インフォグラフィック画像

スライド資料及び音声解説は、下記の個別ページに掲載しています。

本編はこちら:

忘れもの食堂/一口だけ、思い出す

一口で、ひとつだけ記憶が戻る食堂

『忘れもの食堂/一口だけ、思い出す』は、今回の応募作品の中では、比較的あたたかい入口を持つ作品です。

ただし、完全な癒やしではありません。

この作品に出てくる食堂では、一口だけ食べることで、ひとつだけ忘れていた記憶を思い出します。

それは、懐かしい記憶かもしれない。
後悔かもしれない。
会えなくなった人との時間かもしれない。
思い出さない方が楽だったものかもしれない。

記憶が戻ることは、必ずしも救いではありません。

でも、思い出すことでしか、自分の中に戻ってこないものもあります。

この作品は、「忘れることで生きてきた人」が、ほんの一口だけ過去に触れる物語です。

『忘れもの食堂』インフォグラフィック画像

スライド資料及び音声解説は、下記の個別ページに掲載しています。

本編はこちら:

影の家系

感じのいい偽物に、人生を先回りされる話

『影の家系』は、今回の作品群の中でもかなりエンタメ寄りの作品です。

でも、中心にある毒はけっこう強いです。

この作品の核は、

自分より感じのいい偽物に、名前も居場所も先回りされる

という怖さです。

誰かが自分の代わりになる。
しかも、その誰かの方が周囲に好かれる。
自分の不器用さやみっともなさが、偽物の礼儀正しさに負けていく。

これはかなり嫌な恐怖です。

派手なホラーではなく、社会的な居場所を奪われる怖さ。

本物なのに、うまく説明できない。
偽物なのに、周囲から信じられる。

そんな状況の中で、主人公は自分の名前と居場所を取り返そうとします。

『影の家系』インフォグラフィック画像

スライド資料及び音声解説は、下記の個別ページに掲載しています。

本編はこちら:

本物の世界は、サービス終了しました

現実が、いちばん使われないサービスになった未来

『本物の世界は、サービス終了しました』は、近未来SFです。

タイトルの通り、「本物の世界」がサービス終了してしまう話です。

ここで描きたかったのは、派手なディストピアではありません。

もっと静かで、もっと嫌な未来です。

誰かが世界を壊したのではなく、みんなが少しずつ本物の世界を使わなくなっていく。

便利な仮想空間。
快適な代替現実。
失敗しない体験。
傷つかない人間関係。
管理された感情。

そういうものが増えていった結果、現実はだんだん「不便で、危険で、割に合わないもの」になっていく。

そして最後には、誰も使わないサービスとして終了する。

この作品は、現実が壊れる話ではなく、現実が選ばれなくなる話です。

『本物の世界は、サービス終了しました』インフォグラフィック画像

スライド資料及び音声解説は、下記の個別ページに掲載しています。

本編はこちら:

神様の正体は、ただの廃課金プレイヤーでした。

覚醒NPCの「反逆」ログ

『神様の正体は、ただの廃課金プレイヤーでした。』は、通称『神廃』です。

この作品は、ゲーム世界のNPCが、自分たちの神様の正体に気づいてしまう物語です。

神の奇跡だと思っていたもの。
運命だと思っていたもの。
世界の摂理だと思っていたもの。

その正体が、実は課金ログだった。

これはかなり嫌な神話です。

神様が全知全能なのではなく、ただお金を払って有利な操作をしていただけだった。

では、その世界に生きているNPCたちは、何を信じればいいのか。

この作品の面白さは、神を倒すことそのものよりも、

神の言葉がただの操作ログだったと知ったあと、それでも自分で選べるのか

という部分にあります。

『神廃』インフォグラフィック画像

スライド資料及び音声解説は、下記の個別ページに掲載しています。

本編はこちら:

AIに作品を読ませて分かったこと

今回、自分の小説をNotebookLMに読み込ませてみて、いくつか分かったことがあります。

まず、AIは作品を「要約する道具」としてだけ使うものではない、ということ。

もちろん、要約もできます。
構造整理もできます。
登場人物やテーマの抽出もできます。

でも、それだけではありません。

AIに作品を読ませると、作品の別の入口が作れます。

本文とは違う形で、作品を見せることができる。
読む前の人に、少しだけ雰囲気を渡せる。
読んだ後の人に、別角度から振り返ってもらえる。

これは、創作にとってかなり面白い使い方だと思いました。

作者の頭の中を、少しだけ外に出す

小説を書いていると、自分の中にはいろいろな構造があります。

なぜこのテーマなのか。
なぜこの人物なのか。
どこに毒を置いたのか。
どこを説明しすぎないようにしたのか。
どの違和感を残したかったのか。

でも、それを全部本文の外で説明すると、作品が急に野暮になります。

作者が横から出てきて、

ここはこういう意味です
この場面はこう読んでください
この作品のテーマはこれです

と言いすぎると、読者の余白を奪ってしまう。

その点、インフォグラフィックや音声解説は、少し距離があります。

作者本人の解説ではなく、AIが一度読んで、別の形に変換したもの。

だから、作者の頭の中を少し外に出しつつ、作品本文とは別の入口として置ける。

この距離感が、けっこう良いです。

ただし、AIだけでは足りない

とはいえ、AIが作ったものをそのまま出せばいい、という話でもありません。

AIは、作品を分かりやすく整理してくれます。

でも、作品の中にある「説明しきれないもの」までは、完全には扱えません。

特に、シエスタ作品で大事にしているのは、きれいな結論だけではありません。

読後に少し残る違和感。
正解にできない問い。
やさしさの顔をした怖さ。
制度や神話や現実の、足元のひび割れ。

そういうものは、AIが整えすぎると薄くなることがあります。

だから、NotebookLMで作った素材を、ChatGPTで再編集する。

きれいにしすぎた部分には、少し毒を戻す。
ネタバレしすぎた部分は隠す。
作品の温度が消えたところには、言葉を足す。

この手順が、今のところ一番しっくりきています。

本編はこちらから読めます

創作大賞2026の応募作品は、以下のページにまとめています。

創作大賞2026 応募作品まとめ:

各作品の本編はこちらからどうぞ。

『神のアルゴリズム』

『神の死後』

『忘れもの食堂/一口だけ、思い出す』

『影の家系』

『本物の世界は、サービス終了しました』

『神様の正体は、ただの廃課金プレイヤーでした。』

おわりに

自分の小説をAIに読ませるというのは、少し不思議な体験でした。

自分で書いたはずなのに、AIに解説される。
自分の頭の中にあったものが、図になったり、スライドになったり、音声になったりする。

それは、作品をAIに預けるというより、作品の別の影を見せてもらう感覚に近いです。

本文が本体だとしたら、インフォグラフィックや音声解説は、その作品が壁に落とした影です。

影を見ることで、本体の形が少し分かることもある。

今回作ったものは、まだ実験段階です。

でも、創作とAIとブログをつなぐ試みとしては、かなり面白いものになりそうです。

これから少しずつ、創作大賞2026の作品たちを、ブログ上の展示室として整えていきます。